政府の対応も混乱に拍車をかけた。当時の通商産業大臣であった中曽根康弘氏は、記者会見で「紙資源の節約」を国民に強く呼びかけた。通商産業省(現在の経済産業省)は物価抑制措置をとろうと動いたものの、大臣の発言自体が「やはり政府も紙が不足すると認めたのだ」という誤解を大衆に与える結果となってしまった。
行政がパニックを沈静化させようと発した警告が、皮肉にも恐怖を裏付ける決定打となった事例と言える。メディアのセンセーショナルな報道と閣僚の軽率な発言、そして現場の物流混乱が噛み合わさったことで、正常な市場機能を一瞬で狂わせる巨大な社会的うねりが生み出されたのである。