『ヘタリア』の世界線を読み解く鍵は、史実の国際外交史とキャラクター個々の「感情のベクトル」の差異を把握することにあります。本作の人間関係は、単なる善悪の対立構造ではなく、歴史的な条約締結、侵略、同盟、文化交流が擬人化キャラクター間の「腐れ縁」「兄弟分」「ご近所付き合い」として再解釈されている点に最大の特徴があります。
中核を担うヘタリア枢軸国メンバーは、陽気でパスタを愛する泣き虫のイタリア、生真面目で苦労が絶えないドイツ、奥ゆかしく空気を読む日本の3者で構成されます。この3人の絆は第二次世界大戦時の日独伊三国同盟が下敷きですが、作品内では「振り回すイタリア」「胃痛を抱えるドイツ」「静かに付き従う日本」というコミカルなトリオ関係へと昇華されています。
対するヘタリア連合国一覧を構成するアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5カ国は、一枚岩とは言えない絶妙なパワーバランスで成り立っています。世界のリーダーを自負するアメリカと、かつての保護者であり現在は皮肉を飛ばし合うイギリスの親子のような確執。中世以来の宿敵でありながら芸術や食文化で反発し合う「英仏の悪友関係」。圧倒的な威圧感で周囲を凍りつかせるロシアと、最年長として一歩引いた立ち位置からそろばんを弾く中国。これら連合側の会議シーンでは、意見が一切まとまらないまま喧嘩が勃発するのが定番の構造です。
さらにファンコミュニティで根強い支持を集めるのが「悪友トリオ(フランス、プロイセン、スペイン)」や「春待ち組(ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国)」といった非公式・半公式のクラスターです。ヘタリア相関図詳細を深掘りすると、国家間の血みどろの近代史が、愛憎入り混じる繊細なキャラクタードラマへと見事に脱構築されている構造が浮かび上がります。