カオナシとは何者なのか。
宮崎駿監督はかつて、カオナシについて「現代人そのもの」「自分を持たない若者」といった趣旨の発言を残している。他者からの承認を欲しがり、金で気を引こうとし、受け入れられないと逆上して暴れる。その内面は空洞だ。
誰もが心の中に抱える「承認欲求の化け物」。だからこそ、私たちはカオナシを恐れると同時に、どこか自分自身の影を見て寒気を覚えるのではないか。怪物に襲われる恐怖ではなく、「自分が怪物になってしまうかもしれない」という無意識の恐怖。それこそが、作品が公開されて四半世紀が経っても色褪せない、本質的なホラーの要素なのだ。