ネットカルチャーにおいて独特なフレーズが一人歩きを始めると、必ずと言っていいほど真偽不明の憶測や誤解が混入する。「ヒカキンは猪木を出しました」に関しても、デジタル空間ではいくつかの典型的な誤解が観察される。
第1の誤解は、「AI生成によるフェイク動画やボイスチェンジャーを用いた釣り動画ではないか」という疑念だ。近年の生成AI技術の発展に伴い、著名人の声を学習させたパロディ動画が多数流通していることから、このフレーズもそうした架空の産物と混同される場合がある。しかし、調査の結果、発端は紛れもなく公式チャンネル「HikakinTV」の実写動画に根差しており、フェイク動画ではない。
第2の誤解は、「生前のアントニオ猪木氏とHIKAKIN氏が直接スタジオで対談・共演したコラボ動画が存在したのではないか」という混同だ。ヒカキン 猪木 コラボ 詳細まとめを丹念に追跡すると、両名が直接対面してトークを行う形式のコラボレーションは実施されておらず、あくまでトレカやゲーム、関連企画のメディア枠を通じた「間接的降臨」であることが判明している。日本語の「出しました」という表現が、「番組のゲストとして出演させた」という意味にも「カードやアイテムを引き当てた」という意味にも取れる多義性を持っていたことが、ネットユーザーの検索動機を刺激した決定打と言える。