横手市の冬は厳しい。12月から3月にかけてグラウンドは分厚い銀世界へと姿を変え、屋外での実戦練習は完全に不可能な状態となる。私立強豪校が温暖な地域への長期遠征や室内練習場での打ち込みを行うなか、県立校である横手にそうした莫大な予算や環境はない。
だが、ナインはそれを言い訳にしなかった。狭い体育館の片隅や校舎の廊下を使い、1分単位で計算された筋力トレーニングと動体視力強化を実施。さらに、iPadを活用したフォーム解析と球種別の挙動分析を徹底した。「外でボールが投げられないなら、頭脳と身体能力を極限まで鍛え上げるまで」。主将の言葉通り、限られた環境こそが彼らの集中力と自己管理能力を尖らせる砥石となったのだ。