歴代の山の神たちの中で、誰が最も強かったのかという議論は常に尽きない。しかし、単純なタイム比較には大きな罠が存在する。5区は度重なるコース変更(距離の短縮や延長、中継所の変更)が行われており、それぞれの時代で条件が異なるからだ。
さらに、近年のカーボンプレート入り厚底シューズの進化は、登り坂での推進力にも劇的な変化をもたらした。もし、今井正人や柏原竜二が現代のシューズを履き、舗装された道路を走ったらどんなタイムが出たのか。あるいは、神野大地の走法が現代のギアとどう噛み合うのか。科学的なシミュレーションは可能かもしれないが、彼らが当時の泥臭いギアと環境で見せた「魂の走り」こそが、数字以上の価値を持っていることは揺るぎない。