「水があるから出る」だけではない。長年現場に立つ専門家が口を揃えるのは、住まい手が気づかない「隙間」の存在だ。とりわけ浴室における最大の侵入経路として挙げられるのが、排水口と換気扇である。
排水管には通常、悪臭や虫の逆流を防ぐトラップが設置されている。しかし、長期間水を流さなかったり、封水が蒸発したりすると、下水管から直接ゴキブリが這い上がってくる。また、排水トラップのワンがずれていたり、髪の毛などのゴミが絡まって隙間ができたりしているケースも後を絶たない。外とダイレクトにつながる換気扇も同様だ。フィルターがないタイプや、屋外のフードとダクトの接合部にわずかな隙間がある場合、夜間に引き寄せられた個体が容易に侵入を果たす。壁と配管のスキマ、エプロン内部(浴槽のカバー裏)など、視線が届かないブラックボックスこそが奴らの秘密基地になっているのだ。