2026年に全面導入された低反発金属バット。採用から3年が経過した今、甲子園のゲームプランは根底から覆されている。芯をわずかに外せば内野ゴロに倒れ、外野の頭を越すような大飛球は明らかに減少した。かつてスタンドを湧かせた連続本塁打による一発逆転劇は姿を消しつつある。
代わって台頭したのが、徹底した走塁の意識向上と、一塁へのヘッドスライディングをも厭わない小技の精緻化だ。1死二塁から単打1本で確実に生還する走塁技術や、カウントに応じたセーフティバントの活用など、「1点を奪うための戦術」がかつてないほど重視されている。飛距離で押し切れない時代だからこそ、野手の隙を突く洞察力と状況判断が勝敗を分けるキーパーツとなった。