かつてのレスリング界にありがちだった、精神論一辺倒の猛練習。彼はそうした過剰なスパルタ主義とは一線を画す。選手一人ひとりの性格や身体的特徴を観察し、問いかける対話型のコミュニケーションを重んじている。
「なぜあの場面で引いたのか」「相手の組み手に対してどう感じたか」。マットを下りれば、穏やかな口調で選手自身の気づきを促す。自分で考え、土壇場で判断を下せる選手しか世界最高峰の舞台では生き残れないことを、誰よりも実体験として知っているからだ。この柔軟かつ強固なコーチングアプローチが、チーム内の主体性を爆発的に高めている。