籾井体制をさらに揺るがしたのが、2015年に発覚した私用ハイヤー代金の請求問題です。プライベートで訪れたゴルフ場へのハイヤー代金約20万円が、一時的にNHKの公費処理伝票で請求されていた事実が明るみに出ました。監査委員会による調査が行われ、最終的に籾井氏本人が代金を支払ったものの、公私の線引きに対する脇の甘さが厳しく指弾されました。
この一件は組織内部の亀裂を決定づけました。NHK最高意思決定機関である経営委員会からの厳重注意にとどまらず、現場の職員組合からも反発の声が噴出。商社仕込みの強力なトップダウン手法は「剛腕」と称される一方で、合議制を重んじる公共放送の風土とは摩擦を生み続け、籾井会長への評判は学識経験者や視聴者層を含めて急速に悪化していきました。