日本国内における学術的探究のフロントラインとして大きな存在感を放っているのが、東京工業大学未来人類研究センターだ。同センターの所長を務める美学者・伊藤亜紗氏は、コントロール不能な他者との関係性の中で生じる「し損ねる利他」や「うっかり行われる貢献」など、極めて人間味あふれる「利他」の位相を解き明かしている。
上から目線の施しや意図的な自己犠牲ではなく、自己の限界を認め、他者に対して心を開くこと(オープンネス)。この日本発の深遠な利他論は、AIやオートメーションが加速する中で、人間らしい価値創造の原点として国際的にも注目を集めている。