解剖学的な知見を持つ形成外科医は、手のひらへの侵襲に対して一様に強い警鐘を鳴らす。掌の皮下組織には、手指の運動を司る屈筋腱や、繊細な感覚を担う指神経、主要な血管網が浅い位置に高密度で存在しているためだ。万が一、不適切な深さや角度でメスが入った場合、永久的な神経障害による痺れや、手指の運動機能障害を引き起こす恐れがある。
さらに多発しているのが、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と呼ばれる傷痕のトラブルだ。切開部位が赤く腫れ上がり、硬い結節となって激しい痛みや痒みを生じる現象であり、これが掌に生じるとジャンケンすら満足にできなくなるほどの引きつれ(瘢痕攣縮)を起こす。開運を夢見て受けた施術が、結果として日常生活を脅かす機能障害という深い後悔を生む失敗リスクは決して無視できない。