アニサキスは、海洋生物に寄生する体長2〜3cmほどの白い線虫です。人間が誤って生きた幼虫を摂取すると、虫体が胃壁や腸壁に頭部を突き刺そうと潜り込みます。
しかし、実はあの強烈な痛みは虫に噛まれている物理的な痛みだけではありません。虫体が分泌する分泌物や虫体そのものに対して、人間の免疫系が激しいアレルギー反応を起こし、局所的な強い炎症や胃壁の激しい痙攣を引き起こすことが激痛の主因です。
代表的な症状には以下のようなものがあります。
- 急性胃アニサキス症:食後数時間〜十数時間後に発症。みぞおち付近の激しい胃痛、悪心、嘔吐。全体の9割以上がこのタイプ。
- 急性腸アニサキス症:食後十数時間〜数日後に発症。激しい下腹部痛や腹膜炎症状。重症化すると腸閉塞を引き起こすリスクがある。
さらに近年、医療現場で警戒されているのが「アニサキスアレルギー」です。これは胃腸への寄生とは異なり、アニサキスの成分に対して体が抗体を作ってしまうことで発症します。ひとたびアレルギーを獲得すると、生きたアニサキスだけでなく、十分に加熱・冷凍して死滅したアニサキスが含まれる魚介類や出汁を摂取しただけでも、全身の蕁麻疹、呼吸困難、アナフィラキシーショックを引き起こす危険性があります。「加熱したから大丈夫」が通用しなくなるケースがあるため、アニサキス感染歴のある方は特に注意が必要です。