両者を分ける最大の要素は、誕生した土地とその歴史的背景にある。「キーマカレー」は、本場インド料理に起源を持つ伝統食だ。ヒンディー語で「キーマ」とは「細切り肉」や「挽肉」そのものを指し、古くからムガル帝国の宮廷料理などで親しまれてきた。肉の旨味をしっかり引き出し、香辛料との調和を追求した、正真正銘のアジアの伝統味覚である。
一方の「ドライカレー」は、日本生まれの洋食文化が生んだ傑作だ。大正時代、日本郵船の客船「三島丸」の食堂で、時化による船の揺れでもルーがこぼれないよう工夫されたのが始まりとされる。水分を極力減らしてご飯に載せたこの一皿は、その後、国内の喫茶店や家庭へと広がり、独自の発展を遂げた。発祥国がインドと日本という時点で、両者のルーツは根本から異なっている。