鼻や目に生じるイメージが強いアレルギー症状ですが、なぜ喉にまで激しい痛みや違和感が生じるのか。臨床現場のデータやアレルギー専門医の見解によると、その背景には3つの明確な生体反応が存在します。
第1の原因は、微小な花粉粒子の咽頭粘膜への直接付着です。スギ花粉の粒子サイズは約30マイクロメートルですが、風の強い日や大気汚染物質と結合した微粒子は、鼻腔のフィルターを通過して喉の粘膜(咽頭・喉頭)に直接到達します。粘膜表面でアレルゲンとIgE抗体が結合すると、マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が一気に放出され、局所の神経を刺激してチクチクとした痛みや痒みを引き起こします。この病態は医学的にアレルギー性咽喉頭炎と呼ばれます。
第2の原因として見逃せないのが、後鼻漏(こうびろう)による慢性的な喉の刺激です。鼻腔内で大量に分泌されたアレルギー性の鼻水が、鼻の奥を通って喉へと流れ落ちる現象を指します。流れ落ちた鼻水に含まれるアレルギー誘発物質や炎症性サイトカインが喉の粘膜を絶えず刺激し、「喉の奥に何かが張り付いているような異物感」や、痰を排出しようとする反射的な咳を誘発します。
第3の原因は、鼻閉(鼻づまり)に伴う就寝時の口呼吸と粘膜乾燥です。アレルギー反応で鼻甲介が腫れ上がると、無意識のうちに口呼吸へ移行します。外気が加湿・加温されないまま直接喉を通過するため、咽頭粘膜のバリア機能が著しく低下し、軽微な刺激でも激痛を感じやすい過敏状態に陥ります。
スギ花粉からヒノキ花粉への移行期は喉の症状が悪化しやすい
飛散カレンダーにおいて、2月から3月のスギ花粉ピークを過ぎた後、4月前後に本格化するヒノキ花粉の時期に喉の症状が悪化する患者が多く見られます。ヒノキ花粉はスギ花粉と共通の抗原性を持ちつつも、気管支や咽喉頭などの下気道に達しやすい特性が指摘されており、「鼻水は落ち着いたのに喉の痛みや咳だけが止まらない」という現象が起きやすくなります。