『東京ラブストーリー ~After 25 years~』の発表時、そして2026年代に入って電子書籍などで再読した読者たちの声を集約すると、評価は見事なまでに「共感と絶賛」と「切なすぎる現実への拒絶」の二極化を見せています。
当時の大手レビューサイトやSNS(X・旧Twitter)、掲示板の投稿データを分析すると、支持派の中心は40代から60代のリアルタイム読者層でした。「50代になったカンチのくたびれ感や、さとみとの冷え切った会話があまりにも身につまされる」「リカの美しさが若作りではなく、潔く年齢を受け入れた上での魅力として描かれていて救われた」という、人生の酸いも甘いも噛み分けた世代からの圧倒的な共感が目立ちます。
一方で、1991年の織田裕二・鈴木保奈美によるフジテレビ月9ドラマのキラキラした世界観を愛していたファンからは、手厳しい意見も寄せられました。「あんなに情熱的だったリカが白髪混じりの普通の母親になっている姿を見たくなかった」「カンチとさとみの結婚生活がこんなに乾いたものだったなんて、当時のハッピーエンドが否定されたようで悲しい」といった、思い出の美化を壊されたことに対する戸惑いです。
しかし、柴門ふみ氏が意図したのは「かつてのファンの同窓会」ではなく、「25年の歳月を生き抜いてきた人間が直面する責任と覚悟」でした。読者の感想が真っ二つに割れること自体が、本作の生々しいリアリティを証明していると言えます。