実写映画版『恋わずらいのエリー』において最大の勝因となったのは、原作のテンポ感とキャラクターの魅力を完璧に体現したキャスティングと演出力にあります。
学校イチのさわやか王子でありながら裏では毒舌な近江章役を演じた宮世琉弥と、妄想大好き女子の市村恵子役を体当たりで演じた原菜乃華。ふたりはW主演として、コミカルな変顔から息をのむようなシリアスな告白シーンまで見事なコンビネーションを発揮しました。
特に公開時、SNSや各映画レビューサイトで大きな話題を集めたのが、劇中の象徴的な「ジャージ越しキス」をはじめとする胸キュンシーンの撮影裏話です。当時の舞台挨拶や公式インタビュー資料によると、三木康一郎監督の徹底した画角へのこだわりに対し、宮世と原はミリ単位での角度調整とタイミングを綿密にリハーサルして挑んだことが明かされています。原菜乃華が「照れを捨ててエリーの妄想世界に入り切ることで、宮世さんの引き出すオミくんのギャップを本気で受け止められた」と述懐している通り、キャスト間の信頼関係が生々しいリアリティを生み出しました。
さらに脇を固めるキャスト陣も盤石です。オミくんの中学時代の同級生で良き理解者である高見沢勘七役の綱啓永、エリーに興味を持つ雪野礼雄役の西村拓哉(Lil かんさい)など、次世代を担う若手実力派が勢ぞろいし、物語に重層的な人間味と厚みを加えました。主題歌を担当したNiziUの「SWEET NONFICTION」の軽快なポップサウンドも、作品の持つポップで前向きな世界観を完璧に後押ししています。