「同情するなら金をくれ」という言葉の元ネタは、1994年4月期に日本テレビ系の土曜ドラマ(当時は土曜グランド劇場)枠で放送された『家なき子』です。エクトール・マロの児童文学『家なき子』を下敷きにしつつも、バブル崩壊直後の日本を舞台に大幅な再構築が施されたサスペンスフルなヒューマンドラマでした。
物語の主人公は、小学6年生の少女・相沢すず。家庭内暴力(DV)を振るう父、重い心臓病を患い入院生活を送る母という過酷な家庭環境の中で、すずは母の治療費を稼ぐために必死にもがきます。すずの唯一の味方は、捨て犬だった愛犬・リュウだけでした。貧困や過酷ないじめ、大人たちの身勝手な裏切りに翻弄されながらも、すずは持ち前の不屈の闘志で困難に立ち向かっていきます。
すずが口にしたこのセリフは、裕福な立場から形だけの憐れみを向けてくる大人たちへの痛烈な告発でした。綺麗事や中途半端な情けなど何の役にも立たない、母の命を救うために本当に必要なのは「金」だけだという、少女が選んだ究極の生存戦略だったのです。