この施設が位置するのは、大阪市北区の拠点施設である大阪市立住まい情報センタービルの8階から10階。複合ビルの内部に江戸の町並みを丸ごと収めるという前代未聞の試みは、都市再生と歴史保存の両立を模索していた大阪市と、管理運営を担う大阪市住宅供給公社の綿密な連携によって実現した。
かつての大坂は木造建築が密集する水の都であり、度重なる戦乱や近代化の波、戦災によってその歴史的町並みの多くを喪失した。失われた都市のアイデンティティを市民の手に取り戻すにはどうすればよいか。導き出された答えが、ビルイン型という極めて都市的なフォーマットの中に、過去の生活空間をそっくり再現することだった。大阪市立住まいのミュージアムという公的な位置づけを持ちながら、民間感覚のエンターテインメント性を内包するこの場所は、都市の記憶を未来へと繋ぐ強固なプラットフォームとして機能している。