日本国内でこの問題が一気に現実味を帯びて受け止められた背景には、メディアによる真摯な記録の存在がある。NHKオンデマンドでも配信され、大きな反響を呼んだ社会派ドキュメンタリー『彼女は安楽死を選んだ』は、神経難病を患いスイスへ渡った日本人女性の決断と、それに寄り添わざるを得なかった家族の苦悩を生々しく描き出した。画面越しに伝わる本人の確固たる意志と、引き止めたい家族の愛情の摩擦は、多くの視聴者の胸を締め付けた。
また、Netflixなどで鑑賞できる劇映画『ブラックバード 家族が家族であるうちに』では、自ら死期を決めた母親と、週末に集まった家族たちの複雑な感情の機微が描かれている。頭では本人の意思を尊重したいと理解しつつも、感情では別れを受け入れられない。映像作品が照らし出すのは、法や医療のガイドラインだけでは決して解決できない、遺される者たちが背負い続ける一生の葛藤である。