なぜ、くるみは義務化の対象となったのか。その背景には、木の実類による即時型アレルギー症例の急激な増加がある。
日本アレルギー学会や関係医療機関の全国調査によれば、木の実類、とりわけ「くるみ」によるアナフィラキシーショックを含む重篤な発症件数がここ数年で急増。従来の上位品目だった小麦やピーナッツに迫る勢いを見せている。健康志向の高まりによるナッツ類の消費拡大、ペーストや焼き菓子、パン、隠し味としての利用拡大が、皮肉にも患者の曝露リスクを跳ね上げた格好だ。
食品安全委員会による科学的知見の集積と医療現場からの切実なデータ提示を受け、行政は動いた。微量の混入(コンタミネーション)でも呼吸困難や血圧低下といった命の危険を伴うため、推奨表示から義務表示への格上げは医学的にも必然の判断だったといえる。