1999年、日本で児童買春・児童ポルノ禁止法が施行された。この法律は18歳未満の児童を性的対象とする画像や映像の製造、販売、所持を規制するものだ。『神話少女』は施行前の1997年に発行されたが、新法の適用により、出版社は自主的に販売を中止した。
法規制の背景には、国際的な児童保護の潮流がある。1990年代、児童の性的搾取に対する国際的な批判が高まり、日本もその圧力を受けた。日本の写真文化やアニメ・漫画産業においては、未成年の性的表現がある程度容認されてきた歴史があったが、国際社会はこれを問題視した。
『神話少女』は、こうした文化的・法的な転換期に位置する作品だ。芸術家たちは表現の自由を主張し、規制当局は児童保護を優先する。この対立は今も続いている。
表現の自由と倫理的責任
芸術写真における未成年のヌード表現は、常に議論を呼ぶ。支持者は、こうした作品が人間の成長、無垢、脆弱性を探求する芸術的価値を持つと主張する。批判者は、未成年者は自己決定能力が未熟であり、性的対象化されるべきではないと反論する。
篠山紀信は、自身の作品を芸術として擁護してきた。彼の視点では、若い身体は美しさと純粋さの象徴であり、それを撮影することは人間の本質を捉える行為だ。しかし、法律はこの視点を認めない。未成年者の保護は、芸術的意図よりも優先される。
この緊張関係は、日本だけでなく世界中で見られる。欧米でも、デヴィッド・ハミルトンやサリー・マンといった写真家が、若年者を被写体とした作品で同様の論争に巻き込まれてきた。