事件当日の朝、家族会議で何が語られたのか。父である市川段四郎さんと母の二人と共に睡眠薬を服用し、命を絶とうとした経緯は、日本中を騒然とさせた。警視庁による緻密な現場検証と生存者への聴取を通じ、痛ましい家族の最後の時間が徐々に明かされていく。
家族で「次の世界へ行こう」と話し合ったとされるその決断は、一見すると同意の上に見える。だが、司法の場では自殺幇助の罪が問われることとなった。高齢で闘病中だった父親の市川段四郎さんの意志をどこまで尊重できたのか、また親しい家族を自らの破滅に巻き込んでしまった倫理的責任は極めて重い。華やかな舞台の裏側で進行していた、一族の悲劇的な崩壊であった。