2009年、江西は自衛隊を退役した。25歳。人生の転換点だった。多くの元自衛官が民間企業の警備や物流業界に就職する中、彼が選んだのは全く異なる道だった。
写真。
きっかけは些細なものだった。退役前、仲間との思い出を記録するために手にした一眼レフカメラ。ファインダーを覗いた瞬間、新しい世界が開けた。レンズを通して見る世界は、肉眼で見るそれとは全く違った。光と影の微妙なバランス、被写体との距離感、構図の取り方。すべてが新鮮だった。
2010年、東京ビジュアルアーツ写真学部に入学。20代半ばでの学生生活は決して楽ではなかった。周囲には10代の若者が多く、技術的にも大きな差があった。しかし、自衛隊で培った忍耐力と向上心が彼を支えた。早朝から夜遅くまで、キャンパスの暗室にこもり、技術を磨いた。