田代の人生を語る上で、稀代の喜劇王・志村けんの存在を切り離すことはできない。『志村けんのだいじょうぶだぁ』をはじめとする数々のコント番組で築き上げた二人のコンビネーションは、日本のテレビ史における最高峰の芸術だった。完璧主義者として知られた志村が、アドリブを唯一全面的に許した相棒こそが田代だった。
志村が突然この世を去った際、田代が味わった喪失感の深さは計り知れない。自らの裏切りによって師とも呼ぶべき恩人を傷つけ、直接の和解を果たす機会を永遠に失ったという悔恨。しかし今、田代の胸中にあるのは恩讐を超えた感謝の念だ。「お前、何やってんだよ」という天国からの呆れ顔を思い浮かべながら、彼は生き抜くことを誓う。遺された宿題はあまりにも重いが、それを背負って歩くことだけが、彼に許された唯一の供養なのだろう。