市販の杏仁豆腐を口にした際、「独特の華やかな香りと奥深いコク」を感じるものと、「どこか駄菓子のようなアーモンドエッセンスの強さ」を感じるものに二分される経験はないでしょうか。この決定打となるのが、主原料である杏仁霜(きょうにんそう)を使用しているかどうかという点です。
本来の杏仁豆腐は、アンズの種子の中にある「仁(さね)」を粉末状にした杏仁霜を牛乳や砂糖と合わせ、凝固させて作られます。杏仁には生薬としても重宝される特有の芳醇なアロマと微かな苦味があり、これが上品なコクを生み出します。一方で、安価な市販品の中には、杏仁霜を一切使わず、脱脂粉乳とゼラチンにアーモンド香料を添加して「杏仁風」に仕立てている商品も珍しくありません。
本物の味わいを求める読者に向けた原材料の見分け方は極めてシンプルです。パッケージ裏の一括表示欄を確認し、原材料の上位に「杏仁霜」「杏仁粉」の表記があるかをチェックしてください。「香料」のみで味を再現している製品と比較すると、口に含んだ瞬間の香りの広がりと、喉を通った後の余韻の深さに圧倒的な差が現れます。