横手市の冬は過酷だ。グラウンドは数メートルの白銀に覆われ、ボールをまともに投げることすら叶わない日々が数ヶ月続く。他県のライバルが屋外でシートノックに汗を流す間、彼らに与えられたのは狭い体育館と校舎の廊下だけだった。だが、彼らは諦めなかった。敷地内の除雪作業そのものを体幹強化のメニューへと変え、腰と下半身を愚直に鍛え上げた。
「環境を言い訳にした時点で勝負は終わる」。監督の言葉を胸に、限られたスペースでいかに質の高い練習を組み立てるか知恵を絞った。足場の悪い雪上でのダッシュや室内での徹底した基本フォームの確認。不自由な環境こそが、彼らのブレない軸とタフな精神力を養う最高の鍛錬場となったのだ。