一見すると奇抜に映るあの髪型ですが、単なる個人のファッションではなく、綿密に計算された高度な政治的プロパガンダの一環であることが専門家の分析で判明しています。
金正恩氏が後継者として表舞台に登場した当初、20代後半という若さから指導者としてのカリスマ性や経験不足が懸念されていました。そこで採用されたのが、北朝鮮国内で今なお「建国の父」として神格化されている祖父・金日成(キム・イルソン)国家主席の若かりし頃の姿を徹底的に模倣する戦略でした。
オールバック気味にサイドを刈り上げる金日成氏のトレードマークを忠実に再現し、体型や歩き方、演説時の身振り手振りに至るまで祖父に寄せることで、国民に対して「偉大なる首領の再来」を強く印象づける狙いがありました。政治的威厳を保つための演出が、皮肉にも国外では「黒電話」というコミカルなニックネームを生む要因となったのです。