テレビ制作において、たびたび議論されるのが「演出」と「捏造(やらせ)」の境界線だ。テレビ放送業界の擁護派は「見やすさやテンポを整えるための編集は演出の範囲内だ」と反論する。しかし、存在しない事実を捏造し、一般市民のフリをした仕込みの出演者に嘘の意見を語らせる行為は、明確な一線を踏み越えている。
とりわけ、社会問題や政治的テーマを扱う報道ドキュメンタリーや情報ワイドショーにおける仕込みは罪が重い。視聴者はそれを「世論の反映」として受け止めるからだ。演出とは、伝わりやすくするために映像表現を磨く技術のことであり、嘘を事実にすり替える免罪符ではない。この決定的な違いを曖昧にしてきた体質こそが、視聴者の離反を招いている。