下町の風情を残す足立区鹿浜地区。荒川にほど近いこのエリアは、家族連れが多く暮らすのどかな街だ。しかし、あの夜を境に街の空気は一変した。深夜の路地裏から響き渡った鈍い音と、引き裂くような悲鳴。通報を受けて駆けつけた警察官が目にしたのは、あまりにも凄惨な光景だった。
目撃者は極めて少なかった。街灯の少ない夜道、小雨が降る悪条件。犯行の痕跡は巧妙に消し去られており、初期捜査は難航を極めた。住民たちは戸締まりを急ぎ、子供たちの登下校には大人が付き添うようになった。あの瞬間、鹿浜の平穏は永久に失われたかのように思えた。