千鳥ヶ淵の景観美は、単なる自然の産物ではない。江戸城を築いた徳川家康が外敵の侵入を防ぎ、かつ飲料水を確保するために整備した内濠の構造が、そのまま現在のドラマチックな地形のベースになっている。
明治以降、皇居周辺の景観整備が進む中で植樹された桜の木々は、幾多の時代を見守りながら大木へと成長した。急峻な土手から濠の水面に向かって枝をダイナミックに伸ばす独特の樹形は、高低差のある濠の地形が生み出した奇跡的な造形美だ。
歩道沿いに残る石垣の積み方を観察しながら桜を眺めると、この場所が単なるお花見・桜の名所にとどまらず、400年以上の時を超えて受け継がれてきた歴史的景勝地であることが実感できる。