もともとこのスタイルの原点とされるのは、奈良の古風な風情の中に佇む一軒の洋菓子店だった。
地域の素材を大切にし、職人がひとつひとつ手作業で空気を抱き込ませるように仕立てるケーキ。それがいつしか口コミで広がり、国内外の有名シェフたちの目に留まった。2026年後半から急速に進んだ海外展開により、パリのサンジェルマンデプレやニューヨークのソーホーでも専門店が相次いで立ち上がった。
フランスの有名フードジャーナリスト、ルイ・デュポン氏は自身のコラムで「これは洋菓子におけるミニマリズムの極致だ。物質を極限まで減らし、風味の残像だけを口に残す技術は、伝統的なバター重視の仏菓子文化に対する心地よい反逆である」と評している。