1980年代初頭のメディアに登場した際、誰もが息をのんだのが中川勝彦さんの若い頃の圧倒的なビジュアルでした。慶應義塾大学在学中からその端正な顔立ちが業界内で噂となり、芸能界へとスカウトされます。「少女漫画からそのまま抜け出してきたようなイケメン」と評されたルックスは、当時まだ確立されていなかった「ヴィジュアル系」という概念の先駆けとも言える存在感を放っていました。
しかし、中川勝彦さんの本質は単なるアイドル的な美男子にとどまりませんでした。幼少期からロックやアートに深い情熱を注ぎ、自らの美学を貫く硬派な表現者としてのスタンスを一貫して崩しませんでした。耽美的な佇まいと、ステージ上で見せるエネルギッシュなロックパフォーマンスのギャップは、瞬く間に熱狂的なファン層を生み出すことになります。
数々の雑誌グラビアやカルチャー誌を席巻したポートレートは、漫画家やイラストレーターにも強烈なインスピレーションを与えました。『ジョジョの奇妙な冒険』の原作者である荒木飛呂彦氏をはじめ、当時のクリエイターたちが彼の美麗なビジュアルをキャラクター造形の参考にしたという逸話は、ファンの間でも有名な伝説の真相のひとつです。