効率性やタイムパフォーマンス(タイパ)が何よりも重視される現代において、人間関係すらもコスパで語られることが増えた。無駄な衝突を避け、傷つかない距離感を保つことがスマートとされる風潮がある。しかし、その裏で若者たちが抱える「強烈な空虚感」は限界に達していた。
タイパを追い求めた先にあるのは、誰とも深く交わらない冷徹な世界だ。そんな冷え切った日常の中で、あえて「あなた」という特定の存在に自分の人生の主導権を委ねようとする重苦しい愛の形が、むしろ新鮮な救いとして受け入れられている。自由であることの不自由さに疲れた若者たちが、自ら進んで誰かのための「縛り」を求めているのだ。