なぜ今、終末時計はこれほどまでに追い詰められているのか。その背景には、かつての冷戦期のような「米ソ二大国の対立」という単純な構図ではなく、複数の破滅要因が相互に増幅し合う複合的危機(ポリクライシス)の存在があります。
冷戦期は「相互確証破壊(MAD)」の論理に基づき、核を使えば双方が滅びるという恐怖が抑止力として機能していました。しかし現代では、限定的な戦場で使用を想定する「小型核・戦術核」の開発が進み、使用の心理的ハードルが著しく低下しています。
さらに見逃せないのが気候危機との相乗効果です。地球沸騰化に伴う水・食糧資源の枯渇は、地域紛争の引き金となり、核保有国同士の摩擦を誘発します。そこに意思決定を迅速化するAIシステムが軍事介入することで、誤認や誤作動による偶発的な開戦リスクが跳ね上がる構造ができあがっています。