横須賀市内の認定飲食店で海軍カレーを注文すると、例外なく「牛乳」と「生野菜サラダ」がセットで配膳されます。単なるセットメニューのサービスではなく、これは提供店が順守しなければならない必須条件の一つです。
背景にあるのは、明治時代の日本海軍を悩ませていた重大な健康問題「脚気(ビタミンB1欠乏症)」の撲滅運動です。当時、海軍軍医総監であった高木兼寛(たかきかねひろ)は、白米中心の食事による栄養の偏りが原因であると突き止めました。そこで導入されたのが、イギリス海軍で提供されていたシチューに小麦粉でとろみをつけ、カレー風味に仕立てた栄養満点の煮込み料理でした。
不足しがちなカルシウムやビタミン、ミネラルを確実に補給するため、主食のカレーに牛乳と野菜サラダを組み合わせた完全食としての献立が確立されました。1999年に宣言された「カレーの街よこすか」の発足以降、公式認定を受けるための原則として以下の基準が定められています。
- 『海軍割烹術参考書』のレシピをもとに作られていること
- 横須賀市内で提供されていること
- 必ず「牛乳」と「サラダ」をセットで提供すること
- ご当地キャラ「スカレー」を活用し、横須賀のイメージアップに寄与すること
現代の食卓でも親しまれるカレーライスですが、横須賀の地で提供される一皿には、将兵の命を守り抜いた知恵が今も受け継がれています。