金刀比羅宮の主祭神は大物主神(おおものぬしのかみ)と崇徳天皇(すとくてんのう)です。古くから農業・殖産・医薬、そして何より航海安全の守護神として全国の船乗りや商人から信仰を集めてきました。現代では商売繁盛、家内安全、厄除け、良縁成就など、あらゆる現世利益を授けてくれるパワースポットとして親しまれています。
壮麗な天保建築の傑作「旭社」と正しい参拝順路
参道628段目に堂々とそびえ立つ旭社(あさひしゃ)は、1837年(天保8年)に建立された高さ約18メートルの二重入母屋造の壮麗な建築物です。彫刻の精緻さと重厚な佇まいは圧巻で、参拝者が思わず本宮と見間違えて足を止めてしまうほどです。
ここで知っておくべき重要な作法があります。旭社は登りの段階では参拝せず、まず本宮へ向かい、本宮参拝を終えて下りてくる際に旭社へ参拝するのが古くからの正式な順路とされています。これには「主祭神へ先に挨拶を済ませる」という敬意の念が込められています。
讃岐平野を一望する本宮展望台と神馬の存在
785段を登りきった本宮前には広々とした展望広場が広がり、讃岐富士(飯野山)や讃岐平野、遠く瀬戸内海や瀬戸大橋まで見渡すパノラマビューが疲れを一瞬で吹き飛ばしてくれます。また、大門を抜けた先にある神馬舎では、神様のお乗り物とされる美しい神馬(しんめ)が飼育されており、その穏やかな姿に参拝者の心が和みます。
秘境の神域・奥社「厳魂神社」の天狗信仰
1368段の終着点である奥社「厳魂神社」は、金刀比羅宮の別当であった金剛坊金光が厳魂彦命(いづたまひこのみこと)として祀られている場所です。社殿右手の切り立った断崖絶壁(威徳巌)を見上げると、岩肌に直接彫り込まれた「天狗」と「カラス天狗」の彫刻が静かに眼下を見守っています。深い杉木立を抜けて辿り着いた者だけが味わえる、凛とした清らかな静寂と達成感は格別です。