スマートフォンの画面をスワイプするだけで、瞬時に数千人の候補者から「最適な相手」をフィルタリングできる時代だ。しかし、あまりにも効率化された恋愛システムは、皮肉にも若者たちから「ときめき」を奪い去ってしまった。データによって保証された出会いには、偶然のドラマが存在しないからだ。
「スペックだけで選ばれた相手と会っても、面接のようで息が詰まる」と、都内のIT企業に勤務する女性(24)はこぼす。彼女が最近通い始めたのは、あえてマッチング機能を排除した、リアルな出会いの場としてのクラシックバーだ。予測不可能な出会い、噛み合わない会話、そして沈黙。若者たちは今、デジタルが排除した「無駄」や「不便さ」の中にこそ、本物のロマンスが隠されていると気づき始めている。