「ノーブラで過ごすと胸が垂れる」という言説は半ば常識のように語られてきましたが、その因果関係を正確に理解することが重要です。バストを皮膚や大胸筋に繋ぎ止めているのは、コラーゲンを主成分とするクーパー靭帯です。この組織は一度過度に伸びたり切れたりすると、元の状態に戻ることはありません。
しかし、クーパー靭帯が損傷する最大の要因は、重力そのものよりも「運動時の激しい縦揺れ・横揺れ」にあります。ランニングやジャンプなどの運動時にはバストが数センチ単位で激しく動き、靭帯に強烈な牽引力がかかります。この場面でのノーブラは明確に下垂を招くリスクとなります。
一方で、自宅でデスクワークをしたり、リラックスして過ごしたりする静的な状態においては、かかる負荷は自重のみです。フランスのブザンソン大学病院のジャン=ドニ・ルイヨン教授らによる長期追跡調査でも、「ブラジャーを外して生活したグループの方が、胸筋や周辺組織の発達により乳頭位置が維持された」という結果が示されており、日常生活のすべてでブラジャーを強要する根拠は薄れつつあります。