初心者が最も抱きやすい疑問の一つに、「神社と寺院の御朱印帳は絶対に分けなければならないのか」という点があります。ネット上では「混ぜると神仏混淆を嫌う寺院で断られる」「罰が当たる」といった強い論調が見受けられますが、歴史と現場の対応を正しく切り分ける必要があります。
日本の宗教史を振り返れば、明治元年の神仏分離令以前は「神仏習合」の文化が千年以上にわたって続き、神社の中に寺(神宮寺)があり、寺院の中に神社(鎮守社)が祀られるのが当たり前でした。したがって、神社とお寺の朱印が同じ帳面に混在すること自体を歴史的罪悪と捉える必要はありません。
しかし、現代の実務上においては「分けるのが無難」というのが社寺関係者の一致した見解です。明治以降、神社と寺院は別々の法人として自立しており、とりわけ日蓮宗などの一部寺院では、他宗派や神社の印が押された帳面への揮毫を断り、法華経の信仰を重んじる意味から「首題(南無妙法蓮華経)」のみを別帳面に記す方針を貫いている寺院が存在します。また、伊勢神宮の参拝に際しては、純粋な敬意を表すために「最初の見開き2面を空けておく」または「伊勢神宮専用の御朱印帳を用意する」という慣習を重んじる神職もいます。
「断られて悲しい思いをしないため」、そして「それぞれの信仰形態に対する敬意を払うため」という現実的な配慮として、神社用と寺院用の2冊を携行する使い分けが推奨されます。