日本の広告界において、億単位の予算を投じるナショナルブランドが大手代理店を介さずに自社主導でクリエイティブを完結させるケースは極めて珍しい。しかし、松村社長はその常識をあざ笑うかのように、自らプロデュースを行い、脚本や演出の細部にまで指示を出した。
自らが納得できるまで何度でも撮り直しを命じ、妥協のない映像をゴールデンタイムに集中投入する。一見するとリスクの大きいギャンブルのように見えたこの戦略は、中間マージンを極限まで削り取り、最高のキャストと枠に直接資金を注ぎ込むという洗練された投資の回答だった。