鬼族は本来、頭部に2本の角を持って生まれてくる種族です。角の数はマナの吸収効率に直結するため、2本の角を持つ鬼族は極めて高い戦闘種族として恐れられていました。しかし、レムの角は1本しか存在しません。その理由は、鬼族のタブーとされる「双子」として生まれたことにあります。
鬼族の集落において、力を分け合って生まれる双子は「不吉な存在」として忌み嫌われ、生後すぐに間引かれる掟が存在していました。レムとラムも例外なく処分される運命にありましたが、その運命を覆したのが姉のラムでした。ラムは赤ん坊でありながら驚異的な魔力を放ち、一族の長たちを圧倒。「鬼族の神童」「鬼神の再来」としてその才能を認められ、妹のレムも姉の威光のおかげで辛うじて処刑を免れたのです。
成長するにつれ、あらゆる能力で完璧な才能を発揮する姉ラムに対し、レムは角が1本しかない不完全な落ちこぼれとして扱われました。誰からも期待されず、「姉様のオマケ」として生きる日々のなかで、レムの心にはラムへの深い敬愛と同時に、決して埋まらない劣等感が刻み込まれていきました。