最終盤において読者に最も強い衝撃を与えた展開が、マリアが三千院家を去る決断を下したことです。
マリアがナギの元を離れた理由は、決して関係が決裂したからではありません。むしろ、ナギに対する深い愛情と教育者としての責任感によるものでした。
ナギはマリアの献身的な庇護のもとで育ちましたが、その過保護な環境ゆえに他者への依存や精神的な幼さを抱えていました。しかし、ハヤテとの出会いや数々の試練、同人誌制作やアパート生活を通じて、ナギは一歩ずつ自立した人間へと成長していきます。
マリアは、ナギが生涯を託せるパートナーとしてハヤテを心から信頼できる存在になったことを見届け、自分が側にい続けることが逆にナギの自立を妨げる「甘えの温床」になると悟りました。
「ナギを立派に育て上げ、自分の足で歩ませる」という自らに課した使命を完遂したマリアは、あえてナギの前から姿を消し、巣立ちを促す道を選びました。ナギを真に愛していたからこその、切なくも気高い決断でした。