いまや映画興行業は、ストリーミングサービスとの熾烈なアテンションエコノミーの中に置かれている。自宅のソファに寝転がりながら手軽にコンテンツを倍速視聴できる時代に、なぜ人はわざわざ時間と運賃をかけて映画館に足を運ぶのか。
その答えは「没入への飢渇」にある。暗闇の中でスマートフォンを完全に遮断し、数百人の見知らぬ他者と同じスクリーンの光を見つめ、同時に息を呑み、涙を流す。この集団的な感情の同期体験は、どれほど高精細なモバイル端末を用いても再現できない。
イオンモールという広大な生活拠点の中に位置するこのシネコンは、日常から非日常へとシームレスにトリップできる現代のシェルターとして機能している。配信では決して味わえない「記憶に残る一日」を創出することこそが、映画館の最大の武器なのだ。