金融史を振り返ると、市場を揺るがした危機の多くにブラックスワンの影が見え隠れします。その代表格として語られるのが、2008年に発生したリーマンショックです。
当時、米国の住宅市場は「全米規模で同時に価格が暴落することはない」という強固な前提のもとで証券化商品が設計されていました。しかし、サブプライムローンの焦げ付きを契機に大手投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻すると、信用収縮は瞬く間に世界中の金融機関へ飛び火しました。市場の流動性は一夜にして枯渇し、世界同時不況へと突入したのです。
また、2026年初頭の新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界市場の急激なショックも、グローバルサプライチェーンの完全停止という未知の事態を引き起こしました。こうした具体例が示すのは、市場の相互接続性が高まるほど、1箇所の綻びが連鎖的なブラックスワン効果を生み出し、経済への影響が指数関数的に拡大するという現実です。