トラブルの火種は洋上だけでなく、家族や親族の内部にも潜んでいる。近年、自らの人生の締めくくりを自ら決める終活が定着した。その一環として、従来の家制度にとらわれない自然葬を希望する人が増えている。
ところが、本人が生前に独断で決めてしまい、他の家族や親戚に相談なく散骨を実行した場合、後から「手を合わせる場所がなくなってしまった」「先祖代々の墓に入れないのは納得がいかない」と激しい抗議を受けるケースが絶えない。一度海に撒いてしまった遺骨は二度と回収できない。この不可逆性が、取り返しのつかない感情のしこりを親族間に残す原因となっている。