ここに至るまでの道のりは平坦ではなかった。広島県の高校野球といえば、長年にわたり広島市周辺の強豪私立が絶対的な強さを誇り、県東部の福山勢にとっては「高い壁」として立ちはだかり続けてきた経緯がある。
転機となったのは昨秋の県大会だ。土壇場での逆転劇、劇的なサヨナラ勝ち――幾度もの修羅場をくぐり抜けた福山の球児たちは、精神的な脆さを克服。土壇場でも動じない強靭なメンタリティを手に入れた。
「あの夏の悔しい敗戦があったからこそ、全員が一つになれた」。キャプテンが振り返るその言葉には、厳しい冬の走り込みと絶え間ない試行錯誤を乗り越えてきた者だけが持つ、本物の自信が宿っている。