温水洋一の真骨頂は、コメディ・ヒューマンドラマにおいて発揮されるペーソスと笑いの絶妙なブレンドにある。悪人を演じてもどこか憎めず、善人を演じればその悲哀に誰もが涙する。この多面的な演技のベースにあるのは、彼自身の地に足の着いた日常生活だ。
近年の私生活エピソードでも、夫婦の微笑ましい空気感は健在だ。趣味の家庭菜園で収穫した野菜を二人で料理したり、ふらりと出かけた旅先で美味しい地酒を酌み交わしたりと、派手な贅沢を好まない暮らしぶりを貫いている。ロケ先で見つけた妻の好きそうなスイーツを必ずお土産に買って帰るなど、細やかな愛情表現を欠かさない。こうした平穏で温かな家庭環境が、カメラの前で力むことのない自然体の芝居を生み出す土壌となっている。