数ある名言のなかでも、中間管理職から経営者まで最も強い衝撃を与えるのが「汗は自分でかけ、手柄は人にあげろ」という鉄則だろう。自己アピールと保身が優先されがちなビジネス環境において、これほど逆説的でありながら本質を突いたマネジメント論は稀である。
自由民主党内で熾烈な派閥抗争を勝ち抜き、巨大な田中派を築き上げた原動力は、徹底した利他の精神だった。官僚が書き上げた難解な法案を誰よりも読み込み、泥にまみれて根回しを行う。しかし、法案が成立した瞬間の栄誉は、周囲の若手や官僚たちへ惜しげもなく譲り渡した。人は自分を真に輝かせてくれる者のためにこそ、命がけで力を尽くす。この生々しい人間通の論理こそ、組織を束ねる真髄である。