松本隆はなぜ、神聖視されていた名曲の「その後」をあえて描く決断をしたのでしょうか。その背景には、松田聖子という稀代のシンガーへの信頼と、時代を共に生きてきたリスナーへの誠実なメッセージがありました。
もし二人が順風満帆に結ばれていたとしたら、それは単なるファンタジーに過ぎません。人生には思い通りにならない別れや選択があり、それでも過去の美しい思い出が現在の自分を支えてくれる――。松本隆が描いた「美しき初恋の記憶の昇華」は、同じように年齢を重ねて酸いも甘いも噛み分けた大人世代への最高の手向けとなったのです。